Mのランチのランチ会
先日お店を臨時休業してランチ会に出席してきた。
『Mのランチ』という有名なブロガーさんが主催するランチ会で
飲食店の交流の場として企画されたようだった。
先日市会議員の松岡さんのラジオで自分がお店を始める経緯を事細かに聞かれた。お客さんにはよく話す事なのだけれど、お店を始めるきっかけの体験は海外でお金が無くなった時に現地でカレーを売って糊口を凌いだという話をする。
「日本帰ってからお店やろうと思ったんですか?」
という話になった。
別にすぐにお店やろうと思った訳ではなくて紆余曲折あって現在カレー屋をやっている。
以前介護の業界にいた時なんかは、夜勤や腰痛が大変で「デイサービスとか最終的にできんかな?」と全く別の事を考えてた時期もあったが、独立志向は昔からあった気がする。
「最初にカレー屋やろうと思ったきっかけは?」
みたいな話を掘り下げて聞かれた時に「あぁ、そういえば・・・」と思いだした事があった。
当時、介護施設で働いており、現場の仕事が慣れた頃に後輩の教育だったり、会議の進行だったりとやる事が増えていった。メインの仕事とはあまり関係のない仕事なので、あんまり評価される事でもなく、「現場仕事さえしておけばOK」みたいな考えの人が多かったのでやる必要がないと言えばそうなのだけれど、
(なんでみんな思う通りに動いてくれないんだ・・・)とか(明日議長やりたくねぇな~)とか考えるのがストレスになった。毎月、毎日のように頭を悩ませてはくよくよしていたので、ちゃんと向き合ってしまった方が楽なのではないかと考えを改めた。
具体的には本を読むようになった。労務や経営のビジネス本を読んでいると時々仕事に当てはまるパターンが出てきて面白くなっていき、商工会が主催しているセミナーなど出るようになった。
セミナーと言ってもいろいろな種類のものがあり、人事や労務に関する事以外にも
開業や異業種交流など当時の自分には敷居の高そうなものなどさまざまあった。
中には出版記念で執筆者の創業物語みたいなエンタメ性の高い、割と気軽に聞きにいけるものもあり、
その中の一つに『人気ブロガーが教える人気店の秘訣』みたいなものがあった。
セミナーの内容は人気店には共通のポイントがあったり、成功パターンみたいなものの話だったのだけれど、
話がわかりやすく入ってきやすい。(いつか何か自分でやりたいなー)とぼんやり思っていたので、
聞き終わった後には「お店やるの楽しそうだなー」と気分が高揚したのを覚えている。
今考えると、そのセミナーの後に社労士や商工会の人による無料の開業相談会みたいなのがあり、参加者の大半は
お店をやりたいと考えている人が出席していて、きっと気分を高揚させるような話の工夫をしていたのだろうけれど、
当時、休日に趣味で作っていたカレーを友達に食べさせられるくらいの代物になっていた自分には
「お店やるならカレー屋やな」
と見事にその内容がハマり、その日は妄想しながら気分よく帰ったのだった。
その有名なブロガーさんが『Mのランチ』を運営するM三郎さんだった。
ラジオの打合せしながら話が逸れに逸れた時にその話をすると松岡さんは「M三郎さん知り合いですよ」と言われ、打合せが終わった後に『Mのランチ』のブログを見た松岡さんが「こんなのやってますよ」と今回の食事会を紹介して紹介してくれた。M三郎さんは豊中在住で何かと顔の広い松岡さんと面識があったのだ。
松岡さんからランチ会の話を聞き、平日でお店の営業あるからまた別の機会だなーと一度は思ったのだけれど、一方でこういう話の流れの偶然みたいなのをキャッチする力は大事だという想いもあり、思い切ってお店を休んでランチ会に行く事にした。
サイトの説明には「情報共有」みたいな事が書かれており、正直、飲食店同士の名刺交換会みたいなのは気が重い。
開催場所も北新地のバーを恐らく貸し切りにして開催されるらしく日を追う毎に億劫になっていた。
お店はGoogleで簡単に調べられたものの、雑居ビルの中に入ったそのお店は看板も出していなかった。
地図を何度も見直しながら(この建物のはずなんだけどな~)とウロウロしているとテナントの一つの扉のドアが開きスーツを来たびしっとしたビジネスマン風の男性に招き入れられた。
中はオシャレなバーのような空間でビジネスマン風の男性のほかに二人いた。
カウンターに立っているのはM三郎さん。
一番手前に座っている男性はパソコンをカタカタとさせて何か作業中のようでこちらを確認して軽く会釈すると再び作業を再開した。
てっきり名刺交換会なので立ち上がってから
「私○○で××というお店をやっていまして~」
みたいなやりとりを想像していたのだけれど、カウンターに座っている男性はラフなジャケットを羽織って現場仕事している風には見えず飲食店よりもスタバが似合う意識高い若いビジネスオーナーといった風貌。新しい仕事の種を探しに来ているような印象で早くも場の空気に飲み込まれてしまった。
やっぱ帰りてーなーと思っていると、次にやってきたのは30過ぎの男性だっただった。少し貫禄のある体格でアウターの中は黒シャツ、金のネックレス、チョビひげ、といういで立ちで、名刺交換をする時に透明の名刺を渡されまずビビった。
出張イタリアンをされていて、これまでにどこどこで仕事をした、コンサルをやっている等一回りは年下の若者の話すスケールのでかい話にすっかりマウントを取られてしまい、平日の昼に集まる、普段はまず接する事のない人達とのカマし合いに大いに委縮した。
『情報交換会』
というテーマだったので、てっきり店主同士の名刺交換会かと思っていたのだけれど、M三郎さんのセミナーが始まった。
バーの中央にスクリーンが用意されていて、恐らくはいろんな所でセミナーや講師をしているM三郎さんのプレゼンが始まったのだった。以前一度だけ見た 「何か自分でもできるかも!」と飲食店の弱小個人事業主をヤル気にさせる内容になっていた。
現場に活かせそうな目からウロコの内容だったのだけれど、先のビジネスマン達にはどう映ったんだろうか。
内容はとても良くて、M三郎さんにも「以前やったセミナーがきっかけでお店やってます」という事を伝えれた。前セミナーが終わった後には長蛇の列が出来ていてとても「お店やりたいですぅ」程度の熱量では声かけれなかった存在だったので、今日みたいなめっちゃ敷居の高い会に参加出来るようになってM三郎さんに対しても物怖じせず話で来たのでちょっとは成長したのかなーと思った。