カリー河さん
先日カリー河さんが来店した。
河さんは四日市でお店をされていてもう20年もお店をされている。
現在は取材もあんまり受けてなくて、それでも県外からリピーターが来る有名店で
「お店をやりたい!」と言い出した時に知り合い伝いに何度か相談したお店だ。
ちょっとしたインフルエンサーや同業者が食べに来ても動じる事もないのだけれど、
予告なしに突然来店したので、久しぶりに変な汗かいた。
どれくらい動揺したかというと、隣のお客さんのオーダーミスし、散々作って来たチャイのはっぱの分量を
間違えた。それくらい動揺した。
奥さんと二人で来られ、4種類全部のカレーを召し上がられる。
河さんのカレーはインドカレーをど直球に追いかけているような正統派のカレーで、
河さんのお店に入るとインドの匂いがするのだ。まっすぐ勝負せず変化球ばっかり使うウチのカレーが受け入れらるか心配だったが、
「美味しかったです~」と言って頂けたのでホッとした。
自分が顔見知りのお店に行くとエールのつもりで必ず「美味しい」等感想を言って帰る。
カレー屋さんによっては自分の好みにそぐわないものだったら「美味しい」と言わなかったりするものなので、
物腰柔らかい方なので例え社交辞令だったとしても嬉しい。
印象に残っているのが、オープン直後、コロナの大変な時でウチの店はオープンして3カ月で2度程
ボウズ(お客さんゼロ)を食らった。
今考えてみると立地も悪いし時期が時期だったので仕方ないと思うのだけれど、オープン直後でお客さんゼロになるの飲食店
として死刑宣告を受けているみたいで、何より誰も来ないお店で過ごす時間は1秒1秒が重くのしかかり、
食べてもらえないカレーを作っては捨てるという作業は辛かった。
1回目の緊急事態宣言が明けた6月に2度目のボウズを出した。世間では一応飲食店に行っていい事にはなっていたが
時短営業でまだまだ外食をしていいという風潮でなく、外食慣れしている人はまず馴染みにしているお店が元気か確認しに
行くので、お客さんのつく前の自分のような店には来なかった。
さすがにメンタルがへばってくじけそうになってた時に、河さんの所に相談にいったのだった。
お店始めた時に苦労したとは聞いていたのだけれど、結構最初の頃は大変だったという話をうっすら聞いていたので、その時の頃の話を詳しく聞かせてもらった。いろいろ聞いて
「まだやれる、踏ん張らねば」と魂に火をつけて毎日夜中まで試作を繰り返したのだった。
「スパイスカレーとかインドカレーとか目指しているものあるんですか?」
という問いに戸惑った。
実はそんなにこだわりはなかったりする。
いや、オープン当時は欧風カレーにこだわりはあったのだけれど、1年目終わる頃にはすっかり無くなってた気がする。
トライ&エラーをするにもとりあえずはお客さんに足を運んでもらわないと何も始まらない。
自分の表現したいものは確かにあるのだろうけれど、自然とまずはお客さんに喜んでもらえそうなものを
作って「美味しい」と言ってもらえるをずっと考えている気がする。
オープンしてから4年も経って、知り合いのカレー屋さんが来る事はあっても、尊敬するカレー屋さんから
「美味しかった」と言ってもらえるのは何か大事なチェックポイントを一つクリアした感じでいい一日だった。
欧風カレーが一番の売りだけれど週替わりで出してるし、スパイスカレーは毎週のように味が変化して、
ビジュアル重視のキーマカレーは客寄せパンダとも捉えられかねない。そして一番人気あるのはクリームカレー。
本当にこだわりないなー。
一年目本当に大変だったので、こうでもしないと多分何もできないままお店閉めてたに違いない。こだわりも捨てて二本差しの侍に憧れながら結果的に不意打ち、手裏剣、まきびしで生き延びてきた自分の店のラインナップを振り返った時に、「何かいいじゃん」と誇らしく思えたのだった。
我流は無形。
北斗の拳というマンガで一番好きだったキャラクターのセリフを思いだした。
何かそんな感じだ。
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